法定地上権と一括競売権

改めてですが、法定地上権と一括競売権について整理してみました。

◇法定地上権の要件
①抵当権設定「時」に建物が存在すること
・抵当権設定「後」の建物築造については一括競売権(民法389条)
・建物の登記・未登記の有無は問わない

②土地建物の所有者が同一であること
・抵当権設定後の譲渡によって所有者が別になっても法定地上権は成立
・抵当権設定後の譲渡によって所有者が同一に帰しても法定地上権は成立しない

③土地または建物の一方(又は双方の上)への抵当権の設定

④競売後における土地・建物の別異の者への帰属

◇一括競売権(平成15年改正)
抵当権設定「後」に建物が築造され、設定者またはそれ以外の者(つまり誰でも)が築造した場合は、(建物所有者が土地の占有権限を抵当権者に対抗することができる場合を除いて 例:抵当権者の同意を得て賃借権の登記をした場合)土地・建物を一括して競売することができる(改正前は土地の所有者が建物を建てた場合のみ)。
・一括競売するか土地だけを競売するかは抵当権者の自由
土地のみ競売の場合は(建物所有者が土地の占有権限を抵当権者に対抗することができる場合を除き)土地の競落人が建物所有者に対し建物収去土地明渡請求等の必要が生じる
・優先権は土地の代価についてのみ

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民法(法定地上権)
第388条  土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
(抵当地の上の建物の競売)
第389条  抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
2 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。