事実実験公正証書の活用 〜尊厳死宣⾔〜

事実実験公正証書とは、公証人が、依頼者から嘱託を受けて、自らの五感の作用により直接体験し、認識した事実を記載して作成する公正証書を示します。

具体的には、次のような時に利用されています。

①貸⾦庫開扉  開扉するときに公証⼈が⽴ち会ってその中⾝を確認し、その事実を公正証書として記録
②知的財産の証拠保全 ソフト開発などの開発状況を証拠保全
③尊厳死宣言

本稿では尊厳死宣言について紹介します。

尊厳死宣言・・回復の⾒込みのない末期状態の患者に対して、⽣命維持治療を差し控え⼜は中⽌し、⼈間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせること

尊厳死宣言公正証書・・嘱託⼈(依頼者)が⾃らの考えで尊厳死を望むよう、延命措置を差し控え、中⽌する等の宣⾔をし、これを公証⼈が聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にします

 

尊厳死宣言の内容としては、「死期を延ばすためだけの延命措置を行わないこと」「苦痛を和らげる処置は最⼤限実施」などを記載することになります。

医療の現場で尊厳死宣⾔は必ず従わなければならないものではありませんが、概ね容認の傾向が伺えます。

なお、尊厳死宣⾔公正証書はその状況になったときに担当医師に⽰す必要があります。