相続放棄について

 積極財産より消極財産が多い場合、相続放棄を選択することがあります。

今回はこの相続放棄について解説します。

 

1.相続放棄の申立て

 相続放棄は家庭裁判所への相続放棄についての申述を要件をしています。

申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

2.相続放棄の申述人

 相続人

 未成年者、成年被後見人の場合は、その法定代理人(ただし、未成年者と法定代理人が共同相続人の場合で、未成年者のみが相続放棄をする場合は特別代理人の選任が必要です)

3.相続放棄の申述期間

 申述は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に行う必要があります。これを「熟慮期間」といいます。

「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、「相続開始(被相続人の死亡など)を知り、かつ自己が相続人となった事実を知ったとき」をいいます。

先順位の相続人が相続放棄の申述を行ったことで自分が相続人になった場合は、その事実を知ったときからとなります。

なお、財産調査が進まず、3か月以内に相続放棄をするか、否かの判断ができない場合は、「相続の承認又は放棄の期間の伸長」の申立てを行うことで3か月の熟慮期間を延長することができます。

この熟慮期間を超えると単純承認したものとみなされます(民法921条 法定単純承認)。

4.相続放棄の効果

 相続放棄をした者は初めから相続人とならなかったとみなされます。

同順位の相続人間の相続分については相続放棄者は相続人の数に算入しません。

 

 なお、相続放棄をしているか否かを調べる方法、事実上の相続放棄、相続放棄者の管理継続義務については後日掲載いたします。