4月1日から相続登記の申請義務化が始まりました

4月1日から相続登記の申請義務化が始まりました。

空き家・所有者不明土地等の発生が外部不経済(第三者に不利益・損害等をもたらすこと)等の問題を引き起こしています。

また、登記記録を確認しても、最新の状態に更新されていないと経済取引にも支障が生じます。

これら空き家・所有者不明土地の発生防止として民事基本法制が改正され、相続登記の申請義務化が導入されることになりました。

この改正の前提として、土地基本法が改正され、土地についての4つの基本理念が定められています。人口減少等の進展に伴う土地利用ニーズの低下等を背景に所有者不明土地や管理不全の土地が増加し、生活環境の悪化、インフラ整備、防災上の重大な支障が生じているためです。

改正土地基本法による土地についての4つの基本理念

①「土地についての公共の福祉優先」
公共の利害に関係する特性を有していることに鑑み、土地については、公共の福祉を優先
②「適正な利用及び管理等」
その所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じた適正な利用・管理
③「円滑な取引等」
土地所有者等による適正な利用及び管理を促進する観点から、円滑に取引
④「土地所有者等による適切な負担」
その価値の維持又は増加に要する費用に応じた適切な負担

また、改正土地基本法では、土地所有者等の責務として以下のように定めています。

土地所有者等の責務

  • 基本理念にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行う責務
  • 責務を遂行するに当たっては、その所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずること
  • 土地所有者等は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力

土地所有者等が4つの基本理念にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行うためには、権利関係を明確化(登記を更新)する必要があり、そのために相続登記義務化が制度化されたということになります。

相続登記の申請義務化は所有者(相続人)に課せられた制度ですが、その結果として、地域社会の経済取引、土地施策へ協力するものです。

当事務所では、今後も相続登記の促進、成年後見・相続財産管理制度等の財産管理制度の活用、遺産分割調停の申立て等を通じて空き家・所有者不明土地の発生防止、解決に努めてまいります。