平成26年3月、東京地裁にて相続人一人が作成した遺産分割協議証明書を添付した相続登記の却下決定に対する処分取消等請求訴訟の判断がされています。
◇事案
被相続人甲(第1次相続)の相続人は、乙と丙であった。
被相続人甲の遺産分割を行なう前に乙が死亡(第2次相続)した。
乙の相続人は丙一人である。
丙は、甲の相続人と甲の相続人たる乙の相続人の身分で一人で遺産分割協議を行なったとして当該遺産分割協議決定書を添付し,甲→丙の相続登記を申請したが、登記官は登記原因証明情報の提供がないとしてこれを却下。
◇裁判要旨
被相続人甲の遺産は、第1次相続の開始において、乙・丙の遺産共有の状態で帰属。
第2次相続の開始において、乙の遺産すべてが丙に帰属している。
上記遺産分割決定書によって丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続したことを形式的に審査し得るものではないから,登記官が登記原因証明情報の提供がないとして不動産登記法25条9号に基づき上記申請を却下した決定は,適法と判断。
判決内容(最高裁ホームページより)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84478
①甲→乙・丙
②乙→丙
の2つの相続登記を行なうしかないというのが、実務上の取扱いになります。